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【感想】三秋縋の『君の話』~運命の恋人について

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こんにちは、しろです。

最近、運命について書かれている本を連続で読んでいます。これって、運命についてレポートか何か作成できちゃいそうな状態です。

いつの日か文章でまとめてみますね。今回紹介する本も、思いっきり運命の出会いについて書かれています。これはおススメの一冊です。

 

『君の話』から読み解く運命の恋人

 

自分の運命の人がこの先に待っていると確実に知っていたらドキドキしてしまいますよね。

自分で自分のことを空っぽな人だと思っている19歳の青年、天谷千尋はいっそのこと、幼少期から15歳までの記憶をすべて消してしまおうと決心します。何も思い出のない自分は、両親に愛しんで育まれてこなかった少年でした。年少期の楽しかった思い出が全くありませんでした。そのことを暗澹たる気持ちでいます。

だからいっそのことその頃のすべて記憶を消し去ってしまおうと。。。。。

そんな千尋くん一度も会ったことのない幼馴染が救います。

 

運命の恋人

 

運命の恋人は、すれ違っても気づかない人が多いのですが、

ふっとすれ違った時に、お互いに何かを感じ、眼を見開いてしまうような関係らしいです。

 

頭の中が何かに囚われえていたり、考えることが多すぎると分らないかもしれませんが、

何か達成した後の気の緩んだ状態や、

爽やかな風が吹いている時、

うつらうつら、と微睡んでいる状態。

そんな時に感じるかもしれません。

 

呼ばれている、と思える瞬間を。

 

あの日と同じ風の匂いがした。

無意識に歩みを緩める。

肩越しに後ろを振り向く。

人混みの中から、僕はその姿を一瞬で見つけ出す。

彼女もまた、振り向いていた。

そう、それは女の子だった。

肩甲骨まで伸びたまっすぐな黒髪。

花火柄の入った紺色の浴衣。

人目を惹く白い肌。

紅菊の髪飾り。

『君の話』三秋縋 著 P.311より

三秋縋の『君の話』冒頭のことば

 

『君の話』は人生に絶望した若者が運命の恋人に出会う話なのではないかなと思います。

灰色の毎日でも、それを運命の恋人は変えてくれるのです。

この素敵なお話の冒頭の文章を紹介します。

目次よりも先に書いてある言葉です。

 

俺たちはな、ただ名前ばかりがシャボン玉のように膨らんだ、夢幻の恋人に恋焦がれている。

さあ、受け取れ。この偽りを、真実に変えるのは君だ。

エドモン・ロスタン『シラノ・ド・ベルジュラック』(渡辺守章 訳)

 

これは、実在の人物をモデルにした、エドモン・ロスタンの戯曲です。パリ中を興奮させたと言われています。

第2幕で、

ロクサーヌシラノは呼び出されます。

ロクサーヌに恋するシラノの容姿は醜いとされています。その彼女が好きなのはハンサムなクリスチャンであることを主人公のシラノはそこで知ります。

クリスチャンも、彼女に対して恋をしていました。

ですが、クリスチャンは見かけはとても格好いいのに、愛を打ち明ける言葉を知りません。人間の中身が乏しいのです。

だからクリスチャンロクサーヌに告白が出来ません。

シラノは、クリスチャンの代わりにロクサーヌラブレターを書いてあげます。

シラノは自分の大きな鼻の事を悩んでいますが、剣の腕に優れた正義感の強い青年です。一人の女性に恋焦がれたまま、生涯を閉じるのです。

 

『君の話』の本の内容はネタバレになってしまうので、冒頭の話を解説してみました。

 

 

【感想】三秋縋の『君の話』のまとめ

 

この本の中に出てくる登場人物たちは、それぞれに悩んでいたり、自暴自棄になっていたりして自分を大事にしてこなかった人が多く登場します。

ですが、何かしらのきっかけが出来たら、そこから人生に色が付き始めていきます。

自分では気が付かなくても、

それぞれにみんな恵まれているのだと思います。

だから、そんな自分を変えようとすれば、人生が好転していきます。

自分の思い出や家族、記憶を買うことのできる世の中のお話です。

買った記憶に自分は逃げることができます

主人公は現実が嫌いな両親に育てられました。だから嘘の記憶や思い出なんて絶対に買わないと思っています。

ですが、運命の歯車は自分の予期せぬ方向に回っていくのです。

 

 二十歳の夏、僕は一度も出会ったことのない女の子と再会した。架空の青春時代、架空の夏、架空の幼馴染。夏凪灯花は記憶改変技術によって僕の脳に植えつけられた<義憶>の中だけの存在であり、実在しない人物のはずだった。「君は、色んなことを忘れてるんだよ」と彼女は寂しげに笑う。「でもね、それは多分、忘れる必要があったからなの」

これは恋の話だ。その恋は、出会う前から続いていて、始まる前に終わっていた。

『君の話』三秋縋 著 表紙裏より

 

主人公の生活を読んでいたら、こんなにも、どうでもいい気持になってしまうんだ。。。。。。と暗い気持ちに陥ってきました。

ですが、人生捨てたものではないと言いますか、人生ってどこからでも、どんな状態の時からでも、やり直せるんだな。と思えた小説です。

この人と巡り合えた思い出だけさえ持っていれば、自分はこれからの人生を生きていけると思えるのが、運命の恋人なのだと思います。

 

それでは、また!多分次も運命の話しを読んでしまいそうです!

 

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