四段までは順調に進んでも、五段でつまずく剣士は多くいます。
合格率は四段以上に下がり、「ここで停滞した」という声をよく耳にします。
五段は「中堅の段位」とされ、指導者としての姿勢も問われるため、計画的な稽古が必要不可欠です。
この記事では、五段審査の難しさを整理し、合格に近づくための稽古スケジュールを紹介します。
五段審査の位置づけと
剣道規則によれば、五段は 「心技体の充実を示し、指導的立場にふさわしい者」 に与えられる段位です。
初段〜三段は「技の正確さ」が主、四段は「技+心構え・品位」、そして五段ではそれに加えて指導者としての剣道観や気位まで見られるのが特徴です。
合格率が低い理由は、実力差がはっきりと現れること、また審査員が「指導者としてふさわしいか」をより厳しく見ているためです。
五段審査に合格するためのポイント
剣道五段の合格率は審査を行う都道府県や時期によって変動しますが、
一般的に20%台から30%台
と言われています。
五段を勝ち抜くに自身の剣道を見直すことも必要となっていきます。
- 攻めの強さと打突の冴え
相手を崩してから打つ、攻め合いの主導権を握ることが大切です。 - 礼法・所作・品格
五段では立ち居振る舞いが強く評価されます。指導者にふさわしい態度を示しましょう。 - 一本に至るまでの攻防
ただ当てるのではなく、「気・剣・体」が一致した一本が求められます。 - 体力と気力の持続
審査は緊張感の中で行われます。集中を切らさないための基礎体力も重要です。
稽古スケジュール例
四段取得後から五段に向けて稽古に励むようにしましょう。
◎ 3か月前〜2か月前:基礎力の徹底
- 毎日の素振り(基礎打突・左右面・連続素振り)
- 基本打突を徹底し、正しい姿勢と正しい構えを意識する
- 日本剣道形の稽古を開始(最低でも週2回)
私は4段までは激しい稽古に励んできたことにより
順調に合格してきましたが、
五段になり、実技に合格したものの、剣道形で落ちてしまいました。
形の解釈や所作まで徹底的に
何年も前から少しずつでも身に付けていった方が良かったのでは?
と反省をしました。
「形で落ちたら恥ずかしい」と六段を目指すときに注意を受けました。
受審される方は気を付けましょう。
次回の実技は免除されましたが
二度目も剣道形で落ちてしまうと、最初の実技から受け直しになってしまいます。
◎ 2か月前〜1か月前:立ち合い中心の稽古
- 模擬審査形式の立ち合いを週に1〜2回
- 攻め合いから一本を取る稽古を重点的に行う
- 指導者や仲間からのフィードバックを受ける
◎ 1か月前〜2週間前:課題克服と映像チェック
- 自分の立ち合いを録画し、礼法・残心まで確認
- 攻め不足や体さばきの乱れを修正
- 気迫を途切れさせない稽古(短時間の集中立ち合い)
◎ 2週間前〜前日:調整と心の整理
- 疲労を残さないように短時間・高質の稽古
- 礼法、所作、着装を正すことを徹底的に確認
- 前日は軽い素振り・体をほぐす程度に留め、消化に良いものを食べ、心を整える
よくある失敗パターン
- 試合稽古に偏る → 攻め合いは強いが、礼法や形がおろそかになり、手数が増えてしまう
- 直前だけ詰め込み稽古 → 疲労や稽古不足の不安から本番に力を出し切れない
- 残心不足 → 打突後に油断することなく相手に対する身構え・気構えの重要性について理解していない
名言からのアドバイス
「五段は、示す剣道から伝える剣道へ」
四段までは「自分の剣道を示す」ことが中心でしたが、五段では「後輩や門下に伝えられる剣道」であることが求められます。
審査では「自分の剣道を通して何を後輩に示せるか」という視点を持ちましょう。
- 「打突は己を示し、姿勢は人を導く」 :一本は自分の実力を示すが、姿勢や所作は周囲への手本となる
- 「正しい稽古は、正しい指導につながる」 :自分の稽古の積み重ねが、そのまま後進への教えになる
- 「剣道は勝つためでなく、伝えるためにある」 :五段からは勝敗よりも、次の世代に伝える剣道が求められる
- 「心を正せば、剣は自然に整う」 :技術ではなく心構えを正すことで、打突や姿勢が整っていく
- 「五段は剣を磨く段ではなく、人を磨く段である」 :技術を超え、人間性や品格を高める段位であることを示す言葉
剣道五段――それは、技術の高さだけでなく、人としての在り方が問われる段位です。
一本の打突は、自分の実力を示すものですが、姿勢や所作は周囲への手本となります。
「打突は己を示し、姿勢は人を導く」という言葉の通り、
五段にふさわしい剣道とは、ただ強いだけではなく、
見ている人に何かを伝える力を持っているのです。
その力は、日々の稽古の積み重ねから生まれます。
「正しい稽古は、正しい指導につながる」
自分がどれだけ真摯に稽古に向き合ってきたかが、
そのまま後進への教えとなり、言葉以上に深く伝わっていきます。
五段を目指すということは、次の世代に剣道を伝える責任を背負うということでもあるのです。
だからこそ、
「剣道は勝つためでなく、伝えるためにある」という言葉が心に響きます。
試合で勝つことだけが目的ではなく、剣道の精神や美しさを、次の世代にどう伝えていくか。
勝敗よりもその姿勢が問われるようになります。
そして、技術を磨くこと以上に大切なのが、心を整えることです。
「心を正せば、剣は自然に整う」
打突や姿勢を無理に整えようとするのではなく、まずは心構えを見つめ直すこと。
心がまっすぐであれば、技も自然と美しくなっていくのです。
最後に、「五段は剣を磨く段ではなく、人を磨く段である」
この言葉が示すように、五段とは技術の完成ではなく、人間性や品格を高めていく段階です。
剣道を通して、自分自身をどう育てていくか――その姿勢こそが、五段にふさわしい剣の在り方なのです。
まとめ
五段審査は「技・心・体の総合力」と「指導者としての品格」が問われる段位です。
三か月前から計画的に稽古を積み上げ、模擬審査や映像チェックを通じて改善を繰り返すことが合格への近道です。
直前に詰め込むのではなく、日々の積み重ねを大切にし、「指導者としてふさわしい剣道」を審査員に示しましょう。
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