今回は、むすびつきの感想を紹介します。
この作品は、しゃばけシリーズの第17巻にあたる物語です。
タイトルから「結婚?」と思う方もいるかもしれませんが、本作のテーマは “前世”と“縁”。
妖と人間の関係をやさしく描く、しみじみ心に残る一冊でした。
この記事では
- 『むすびつき』のあらすじ
- 印象に残ったエピソード
- 読んだ感想
- 最新刊情報(2026年3月現在『あやかしたち』2025年9月18日発売)
をまとめています。
しゃばけシリーズ『むすびつき』とは
畠中恵による人気小説「しゃばけ」シリーズは、
江戸の薬屋の若だんなと妖(あやかし)たちが事件を解決していく物語です。
累計800万部を超える人気シリーズで、ミュージカルや漫画化もされている代表作です。
『むすびつき』は2018年に刊行されたシリーズ第17弾で、
輪廻転生(生まれ変わり)と人と妖の絆がテーマになっています。
『むすびつき』のあらすじ
若だんなは、前世ではどんな人だったのか。
玉の付喪神が「若に会いたい」と言ったことをきっかけに、
貧乏神の金次が、合戦の時代に出会った“若長”の話を語り始めます。
さらに
- 若だんなに会ったことがあるという妖
- 前世の若だんなに恋をしていた鬼女
- 自称「若だんなの生まれ変わり」という死神
などが現れ、長崎屋は大騒ぎに。
「人は生まれ変わるのか?」
「若だんなの前世はどんな人だったのか?」
妖たちが語る前世と縁の物語が、5つの短編で描かれます。
鈴彦姫がとにかく可愛い
今回の『むすびつき』で印象的だったのが
鈴彦姫の可愛らしさです。
金次が「前世の若だんなに会ったことがある」と話したことを聞き、
鈴彦姫は羨ましくて仕方がなくなります。
「自分にも若だんなとの前世の縁があるのでは?」
そう思い込んだ鈴彦姫は
必死に前世の記憶を探し始めます。
若だんなに似た人を探したり
過去の記憶をたどったり。
その姿がもう、健気で純粋。
妖の“好き”は、人間の恋とは少し違うのかもしれません。
でも、だからこそ まっすぐで、全身で想いを表現しているように感じました。
読んでいて思わず微笑んでしまう、
しゃばけシリーズらしい優しい場面でした。
しゃばけシリーズから観る生まれ変わり
本作のテーマの一つが 輪廻転生(生まれ変わり) です。
とくに印象に残ったのは、
「こわいものなし」に登場する夕介の物語。
- かなりいい加減だけど憎めない夕介
- 前世の記憶があるまま生まれ変わりたい
- 転生とは死んでも元のまま生き返ると勝手に思っていた
「どんな者でも、望みが叶うことが、幸せに繋がるとは限らぬ。生まれ変わった後、今の己を覚えているのが、嬉しいかどうか。さて、どうかな」
ただ、それでも転生が夕介の望みなのだ。
「だから望む通り、生まれ変わればよい。その後のことは、己で何とかしていくのだな。輪廻転生を願ったことが、良かったのか、不幸となるのか。おお、見てみたい気もするな」
『むすびつき』畠中恵 著 P.256-P.257 より
しかし転生は思い通りにはいきません。
彼は次々と生まれ変わります。
- 蝶 → 鳥に食べられる
- 鯉 → いつの間にか姿を消す
- 菜の花 → 芋虫に食べられる
- 蟻 → 雀に食べられる
- 鳩 → 鷹の餌になる
ようやく 九官鳥になって、人の役に立つ存在になります。
英雄とは言えないかもしれない。
でも確かに、誰かの役には立っている。
この描き方がとても しゃばけシリーズらしい優しさだと思いました。
若だんなの「大丈夫」が作る世界
病弱で、何度も三途の川を渡りかけてきた若だんな。
だからこそ
仁吉や佐助、小鬼たちの家鳴りなど
妖たちは必死に若だんなを守ろうとします。
妖と人では寿命が違う。
そのことを考えると
少し切なくもなります。
それでも若だんなはこう言います。
「大丈夫。皆が一緒にいてくれるもの。ちゃんと明日へ行ける」
この言葉が胸に残りました。
しゃばけシリーズは、
事件を解決するだけの物語ではありません。
人の心のもつれを解き、
最後には すべてが優しい場所へ落ち着く。
私はこの
若だんなの事件の解決の仕方がとても好きです。
最新刊『あやかしたち』の感想(2026年3月現在)
しゃばけシリーズは現在も続いています。
最新刊は
『あやかしたち』
著者:畠中恵
出版社:新潮社
発売日:2025年9月18日
シリーズを読み続けて感じるのは、
若だんなの事件解決の仕方の優しさです。
敵を打ち負かすのではなく、
関わった人や妖の気持ちを整理して
すべてが良いところに落ち着くようにおさまっていく。
その優しい結末が、
しゃばけシリーズの一番の魅力だと思います。
『あやかしたち』でも
そんな若だんならしい解決が描かれていて、
読んでいてやっぱりこの世界が好きだなと感じました。
しゃばけシリーズ
- 『しゃばけ』2001年12月21日発売
新装版 2013年3月22日発売 - 『ぬしさまへ』2003年5月22日発売
- 『ねこのばば』2004年7月22日発売
- 『おまけのこ』2005年8月22日発売
- 『うそうそ』2006年5月31日発売
- 『ちんぷんかん』2007年6月22日発売
- 『いっちばん』2008年7月31日発売
- 『ころころろ』2009年7月31日発売
- 『ゆんでめて』2010年7月30日発売
- 『やなりいなり』2011年7月29日発売
- 『ひなこまち』2012年6月29日発売
- 『たぶんねこ』2013年7月22日発売
- 『すえずえ』2014年7月31日発売
- 『なりたい』2015年7月22日発売
- 『おおあたり』2016年7月22日発売
- 『とるとだす』2017年7月21日発売
- 『むすびつき』2018年7月20日発売
- 『てんげんつう』2019年7月18日発売
- 『いちねんかん』2020年7月17日発売
- 『もういちど』2021年7月19日発売
- 『こいごころ』2022年7月21日発売
- 『いつまで』2023年7月20日発売
- 『なぞとき』2024年7月18日発売
- 『あやかしたち』2025年9月18日発売
FAQ:よくある質問
検索で『むすびつき』を調べている方が気になりやすい疑問をまとめました。
作品のあらすじやシリーズの読む順番など、読書前に知っておきたいポイントを簡単に解説します。
Q1 しゃばけ『むすびつき』はどんな話ですか?
前世と縁をテーマにした短編集で、妖たちが若だんなの前世について語る物語です。
輪廻転生のエピソードや鈴彦姫の可愛らしい想いが印象に残る作品です。
Q2 『むすびつき』はしゃばけシリーズの何巻ですか?
『むすびつき』はしゃばけシリーズの第17巻です。
2018年に刊行された作品で、シリーズの中でも“生まれ変わり”がテーマの印象的な一冊です。
Q3 しゃばけシリーズは順番に読むべきですか?
基本的には1巻から読むと世界観が理解しやすいですが、短編集が多いため途中の巻から読んでも楽しめます。
ただし登場人物の関係を知るためには順番に読むのがおすすめです。
Q4 しゃばけシリーズの魅力は何ですか?
江戸の薬屋の若だんなと妖たちが事件を解決する物語で、人と妖の優しい関係が魅力です。
事件の解決も争いではなく、関わる人の気持ちが穏やかに落ち着く形で描かれます。
Q5 しゃばけシリーズの最新刊は?
2025年9月18日に最新刊『あやかしたち』が発売されています。
若だんならしい優しい事件解決が描かれる、シリーズ最新作です。
【レビュー】感想!しゃばけシリーズ『むすびつき』のまとめ
『むすびつき』は
- 前世
- 生まれ変わり
- 人と妖の絆
を描いた、しみじみと温かい物語でした。
鈴彦姫の可愛らしい想い、
転生の物語、
そして若だんなの優しい言葉。
読み終えたあと、
少しだけ世界が優しく見える。
そんな一冊です。
病気がちで何度も三途の川を渡さりそうになっている若だんなだからこそ、みんなが(小鬼を覗く)若だんなが死なないように気を配っています。
若だんな本人も考え過ぎて分らなくなってきますが、
結局は大丈夫と自分に言い聞かせます。
若だんなのような優しい人が大丈夫と言える世の中は
素敵な世界なんだと思います。
(大丈夫。皆が一緒にいてくれるもの。ちゃんと明日へ行ける)
『むすびつき』畠中恵 著 P.269 より
小鬼たち“家鳴り”と一緒に暮らしたいなあ。
そう思わせてくれる
しゃばけシリーズらしい物語でした。



コメント