剣道では「ただ当たった打突」では評価されません。
審査でも試合でも求められるのは、姿勢・気迫・残心を伴った「評価される打突」です。
これは速さや力だけでなく、正確さと一本の質が重視されるということです。
この記事では、面打ち・小手打ちの基本を振り返り、評価される打突を身につけるための稽古法を解説します。
正面打ちの基本と注意点
正面打ちはあらゆる技の基本となるものです。
面打ちの基本
- 正しい中段の構えから中心を外さず、真っ直ぐ振り下ろす
- 左手主体で振り、右手は押さえすぎない
- 踏み込み足と打突を完全に一致させる
- 打った後も姿勢を崩さず、残心を示す
正面打ちの注意点
-
腕の力に頼って振ってしまう
(竹刀の振り上げ振り下ろしには肩関節を十分に活用させる) -
打突と足さばきのタイミングがズレる
(円滑な体移動による一拍子の打ちに重点を置く)
👉 剣道上達への基礎となります
面の打突の機会
当たればいいのではないことを理解しましょう。
どこにも隙の無い中段の構えに対して、
竹刀を打ち込んでいくのはよい結果にはつながりません、
打突の機会は相手の
- 構え方
- 動き
- 呼吸
- 精神状態
これらを総合的に判断して打突の機会がおとずれます。
面が打てる機会
面が打てる機会を理解し、
自分がその状態にならないように注意します。
面が打たれてしまう時は下記の場合になります。
- 剣先が中段の構えの位置より低くなっている時
- 剣先が左の方に大きく外れている時
- 剣先が右の方に大きく外れている時
面打ちの練習方法
押さえて打つ練習をしましょう。
押さえて面
- 剣先を表(左)または裏(左)から軽く乗るようにして押さえます
- 剣先が下った所をすかさず正面に打ち込みます
※攻め勝ったら一連の動作として面に伸びることが大切です
小手打ちの基本と注意点
正しい小手打ちのポイント
- 一拍子で打つ
- 相手の竹刀を攻め、剣先を上げさせてから小手に入る
- 相手の打突部位だけでなく全体に目を配る
- 手先だけでなく相手の小手が見える程度に振りかぶって打つ
改善が必要な打ち方
- 手先だけで打つ
- 打つタイミングが遅れている
小手はリズムとタイミングが大事です - 打った音がにぶい
👉 小手打ちは評価を得にくい技ですが、リズムとタイミングと音が揃えば力強い一本になります。
小手の打突の機会
- 相手の剣先が中段の構えの位置より高くなっている
- 剣先が左の方にかたよっている
小手打ちの練習方法
押さえて小手
- 相手の竹刀を表(左)から乗るように押さえます
- 相手がそれに抵抗して剣先を上げます
- 上げた所をすかさず小手を打ち込みます
(相手の剣先の上がり際を察知して上から滑りこませるように打ち込みます)
※剣先が上がり際をとらえることがポイントです
※剣先が上がったときに、相手の剣先の下側から打つこともできます。
名言からの打突
「勝って打て、打って勝つな」
「勝って打て、打って勝つな」は、剣道の指導者たちがよく口にする言葉です。
一見すると矛盾しているように聞こえますが、この言葉には、剣道の本質、特に「心」と「機」の重要性が凝縮されています。
1. 「打って勝つな」:ただの打突で勝利を求めない まず、この言葉の後半部分である「打って勝つな」から考えてみましょう。
これは、「ただ闇雲に竹刀を振って、偶然の当たりで勝とうとするな」という戒めです。
剣道では、たとえ相手の面を打ったとしても、それが偶然の当たりであったり、打突の機会が熟していないうちに放たれたりした場合は、一本と認められません。
「打って勝つな」という教えは、以下のような剣道の悪い癖を指摘しています。
焦って打つ: 相手の動きに反応し、反射的に打突を放ってしまうこと。
我を張って打つ: 自分の得意な技ばかりを狙い、相手の動きを無視して打つこと。
勢いだけで打つ: 相手を圧倒しようと、ただ力任せに打突を繰り出すこと。 これらの打突は、一本になることはあっても、それは真の「勝ち」ではありません。なぜなら、その場しのぎの勝利であり、再現性がないからです。また、相手に反撃の機会を与えることにもつながります。
2. 「勝って打て」:とは技を打ち出す前の積極的な行動
剣先の攻め合いに勝ったものが相手に打ち勝つのです。
「勝って打て、打って勝つな」ってどういう意味?
剣道を始めたばかりの方にとって、「勝って打て、打って勝つな」という言葉はちょっと不思議に聞こえるかもしれません。
でも、この言葉には、剣道のとても大切な考え方が込められているんです。
まず、「打って勝つな」とは、ただ竹刀を振って当てるだけでは、本当の意味で勝ったことにはならないという教えです。
たとえば、相手の動きをよく見ずに、勢いだけで打ってしまうのはただのまぐれです。
剣道では、心を落ち着けて、正しいタイミングで打つことが大切なんです。
次に、「勝って打て」という部分。
これは、打つ前にすでに勝っている状態を作ることを意味します。
どういうことかというと、相手の気持ちを揺さぶったり、間合いをうまく取ったりして、相手が動きにくくなった瞬間を見つける。そのタイミングで打つことで、しっかりとした一本につながります。
この考え方は、日々の練習でも活かせます。
素振りでは、ただ振るのではなく、集中して気持ちを込めること。
打ち込みでは、相手の構えや動きをよく見て、タイミングを意識すること。
地稽古では、焦らず、まず相手の様子を見てから動くことが大切です。
「勝って打て、打って勝つな」は、剣道の技術だけでなく、心の持ち方や相手とのやり取りを大切にする教えです。
この言葉を意識することで、剣道の楽しさや奥深さがもっと見えてくるはずですよ。
まとめ
剣道では、ただ竹刀が当たっただけでは一本とは認められません。
試合でも審査でも求められるのは、正しい姿勢、気迫、そして打った後の残心を伴った「評価される打突」です。
速さや力だけでなく、正確さと一本の質が重視されるのが剣道の特徴です。
まず、面打ちや小手打ちの基本を振り返ってみましょう。
面打ちは剣道の基本技であり、正しい構えから中心を外さずに真っ直ぐ振り下ろすことが大切です。左手を主体に振り、踏み込みと打突のタイミングを一致させることで、安定した一本につながります。
注意点としては、腕の力に頼りすぎたり、足さばきと打突のタイミングがズレること。
肩関節を使った自然な振りと、一拍子の打ちを意識しましょう。
小手打ちはリズムとタイミング、打突音が揃えば力強い一本になります。
相手の剣先を攻めて小手に入る、手先だけでなく全身を使って打つことがポイントです。
そして、打突の「機会」を見極めることも重要です。
相手の構え、動き、呼吸、精神状態をよく観察し、隙が生まれた瞬間を逃さず打つことが求められます。
逆に、自分の剣先が下がったり、中心を外れていると、面や小手を打たれる原因になります。
ここで大切な言葉が「勝って打て、打って勝つな」です。
これは、ただ当てて勝とうとするのではなく、打つ前に心と機を制して勝機を作るという教えです。相手の気持ちを揺さぶり、間合いや剣先の攻防で優位に立ったうえで打つことで、一本の質が高まります。
この考え方は、素振りや打ち込み、地稽古など日々の練習にも活かせます。焦らず、相手をよく見て、正しいタイミングで打つことを心がけましょう。
剣道は技術だけでなく、心のあり方や相手との駆け引きが大切な武道です。
基本を大切にしながら、「勝って打て」の精神で稽古に取り組むことで、より深い剣道の世界が見えてくるはずです。
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