こんにちは、しろです。
私が20代の頃に好きで読んでいたのが、新井素子さんのSF小説だったんです。今回読んだ『未来へ・・・』は発売されていたのに今まで気が付きませんでした。遅くなってしまいましたが見つけて良かった本です。
【感想】新井素子さんの『未来へ・・・』上巻
成人式の日に、
娘の菜苗は、パパにおねだりをします。
「かなちゃんのお仏壇を、だして」。
両親は娘にとても素敵な振袖を買ってあげたのです。この家庭では考えられないような振袖で、
普通の2倍もするものです。
そう、かなちゃんの分も入っていたのです。
そのかなちゃんって。。。。。。
菜苗は、双子の姉の存在を知らないはずでした。
15年前のことです。
主人公の若葉は双子の母でした。ですが、香苗が5歳の時に遠足の事故に巻き込まれてしまったのです。
とても元気な香苗は、双子のお姉さんです。
とても身体の弱い妹の菜苗に両親は付きっきりです。
香苗はいつも寂しい想いをしていました。
そんな元気な香苗が亡くなってしまったのです。母の若葉はいつもごめんね。と心で言いながらも、
菜苗が心配でなかなか思うようにはいきません。
そんな状況下の中で理不尽にも事故が起きてしまったのです。
母の若葉は、香苗の仏壇の前から離れませんでした。悲しみに明け暮れたのです。
今までかなちゃんのことを後回しにしてしまった後悔は悔やんでも悔やみきれません。
そんな若葉を見かねて、夫は、
「かなちゃんの仏壇を撤去しようと思うんだ」
と提案します。生きるしかばねとなった妻に・・・。
そして、それから15年の時が流れます。
かなちゃんの仏壇を出した時から、
若葉は封印していた悲しい記憶を呼び起こされてしまいます。
そして夜に、
不思議な夢をみる様になるのです。
かなちゃんが事故に巻き込まれた日は、1996年8月4日日曜日です。
最初の夢は、
1996年1月10日水曜日の夢です。
この母の状況と同じようなことに見舞われたら、精神的に壊れてしまってもおかしくはないです。
早く、死んだ子の元へ行きたいと思うでしょう。
寂しくさせてごめんね。とあの世で言ってあげたいと思うでしょう。
上巻を読み切った時に早く下巻が読みたくてジタバタしました。
【感想】新井素子さんの『未来へ・・・』下巻
この新井素子さんの『未来へ・・・』という本は、パラレルワールド・ハートフル・ファンタジーだそうです。
そして、待ちに待ったこの下巻を読んている時に、Amazonのレビューで誰かが「納得の結果」と言っていたので
(この上下巻ではなくハードカバーの方のAmazonレビューです!)、
それを信じで読み続けました。どんな解決方法があるんだ?
どうすれば読者が納得するんだ?
そして、私も納得する物語を新井素子さんは完成させたのです。
すごいなーって心から思います。
【感想】新井素子の『未来へ・・・』おススメの1冊のまとめ
子どもを失くした母の気持ちの落としどころが分かった気がします。
気がするだけです。
悲しみの底にいるに人が、この本を読んでみようかな。。。。。。
と思えた時に読んでもらいたい本です。
新井素子さんファンにもぜひ読んでください。
特別短編を読んで思いっきり感動しました。
過去の夢ばかり見ていた若葉は、過去の自分と交信できることに気が付きます。
そうなると若葉がやるべきことは、「娘の事故を防ぐこと」。
過去っていじってしまってもいいの?未来は変わってしまわないの?
代わりに誰かが死んでしまうということはないの?
様々な疑問の中で読んでいった小説のタイトルは「未来へ・・・」
過去へ行っているのに。
ですが、確かにこの小説は未来へ!なんです。
心から双子ちゃんの未来を味わいました。
菜苗!ナイス!
では、また!